お役立ちコラム

住宅ローンの返済が厳しい方へ

2023.07.18
家の模型と女性の手

住宅ローン問題でよくあるご相談

家の模型

住宅ローンは、基本的に数千万円単位での借り入れをするものなので月々の返済額も大きくなり、家計状況の変化によってその支払いが厳しくなることもあるでしょう。

そのような場合にどのようにすればいいのか、自宅を売却しなければならないのか、自己破産をしなければならないのか、でも自宅を手放したくない・・・、などといろいろなことが頭の中をめぐるかもしれません。

このようなお悩みについてはよくご相談をいただきます。

この記事では住宅ローンの支払いが厳しい場合に、どのように立て直していけばよいかご紹介します。

住宅ローン以外に借金がない場合

住宅ローン以外に借金がない場合には、まずは住宅ローンを組んでいる金融機関に返済条件の変更をしてもらえないか相談をしてみましょう。

一時的に返済額を減額してもらったり、支払いを猶予してもらったりすることができれば、その間に収支を見直して、経済状況を立て直すことで、また住宅ローンの支払いができる状態に戻すことができるかもしれません。

支払いの目途がないからといって、金融機関に相談せず、住宅ローンの支払いを滞納し続けるのは絶対にやめましょう。金融機関から法的手段を強行される可能性があります。

その場合、最終的には担保となっている自宅が競売にかけられてしまいます。

競売では一般の市場で売却するのに比べかなり低い金額で売却されることになるので、競売にかけられても多額の住宅ローンが残ってしまいます。

もし売却すること自体はやむを得ないと考える場合は、競売ではなく市場で任意売却することを検討しましょう。それであれば競売より高額で売却することができ、住宅ローンの残額を少なくすることができます。

【参考】【債務整理の種類】どんな債務整理方法が自分に合っているか知りたい

住宅ローン以外に借金がある場合

住宅ローン以外の借金がある場合には、個人再生を検討しましょう。

個人再生は、法的な手段で借金問題を解決する債務整理の一つで、借金返済が不能であることを裁判所に申し立てて、再生計画の認可決定を受けることで借金を減額してもらう民事再生法に規定されている手続きです。

また、住宅ローンがある場合については、より有効に個人再生を利用できる住宅資金特別条項という制度があるので次でみていきましょう。

【参考】自転車操業で借金がかさむ…多重債務から抜け出す方法

個人再生の住宅資金特別条項を利用する場合

住宅模型

住宅資金特別条項とは、住宅ローンなどの住宅資金貸付債権についてはそれまでどおりの支払いを継続し、またはリスケジュールすることで自宅を処分されないようにしながら、住宅ローン以外の借金だけを個人再生によって減額・分割払いとすることができる制度です。

住宅ローン以外の借金がある場合には、その住宅ローン以外の借金の返済の負担を減らすことで住宅ローンの返済を続けていくことができる可能性が十分にあります。

住宅資金特別条項を利用することで、住宅ローンを手元に残しながら、借金の負担を減らして家計を立て直すことが期待できるのです。

ただし、住宅資金特別条項を利用するためには、個人再生の利用条件を充たしているだけでは足りず、住宅資金特別条項に固有の利用条件を充たしている必要があります。

具体的には以下を満たす必要があります。

  • 個人再生(小規模個人再生または給与所得者等再生)の要件を充たしていること
  • 対象とする住宅が、再生債務者が所有し、床面積の2分の1以上の部分を専ら居住の用に供している住宅であること
  • 住宅資金特別条項の対象となる債権が「住宅資金貸付債権」(要するに住宅ローン)に該当すること
  • 住宅資金貸付債権が法定代位により取得されたものでないこと
  • 対象となる住宅に住宅ローンなど住宅資金貸付債権のための抵当権ではない担保権が設定されていないこと
  • 対象となる住宅以外の不動産にも住宅ローンなど住宅資金貸付債権の抵当権が設定されている場合には、その住宅以外の不動産に後順位抵当権者がいないこと
  • 個人再生申立ての際に提出する債権者一覧表に住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思がある旨を記載すること
  • 住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出したこと
  • 住宅資金特別条項を定めた再生計画が遂行可能であると認められること
  • 再生債務者が住宅の所有権または住宅の用に供されている土地を住宅の所有のために使用する権利を失うこととなると見込まれないこと

以上のように、住宅資金特別条項については利用のメリットが大きいですが、厳格な条件が求められています。住宅資金特別条項は債権者間の公平の原則に反するものなので、その代わりに厳格な条件を課しているのです。

住宅ローンに関するお悩みなら山本総合法律事務所へ

弁護士3名

住宅ローンの支払いに悩んでいる場合、それぞれの状況に応じて対応すべき内容が異なってきます。

特に、住宅ローン以外の借金がある場合には住宅資金特別条項を利用した個人再生を検討する必要がありますが、その利用条件をみるとわかるように、その条件の内容は専門的で、それぞれに該当するかどうかの判断は簡単ではありません。

最適な解決策をみつけるために、債務整理について専門的な知識と経験を有する弁護士法人山本総合法律事務所の弁護士にご相談ください。