自己破産で奨学金はどうなる?

奨学金を返済せずに滞納するリスク

リスクについて考える人

奨学金は「借金」であるため、返済を怠るとさまざまなリスクが発生します。軽く考えて滞納を続けてしまうと、将来にわたって大きな不利益を受ける可能性があるのです。

 

延滞金や一括請求のリスク

奨学金を返済しないまま放置すると、まず延滞金が加算されます。延滞が長期化すると、日本学生支援機構などの機関から、一括返済を求められることがあります。

 

月々の分割返済であれば何とか対応できていた人でも、一括請求が来ると支払い不能に陥りやすいのが現実です。奨学金は何百万という額がほとんどで、とても一括で返済できるものではありません。

 

信用情報への影響

奨学金を滞納すると、信用情報機関に延滞情報が登録されます。いわゆる「ブラックリスト」に載る状態になり、クレジットカードの利用や新たなローンの借入が難しくなります。

 

社会人としての生活全般に影響するため、軽視できない問題です。一度ブラック状態になってしまうと、5年程度は情報が抹消されることはありません。

 

自己破産したときの連帯保証人・通常保証人への影響

連帯保証人と債務者

結論から言えば、自己破産をすれば奨学金の返済義務は原則免除されます。しかし、それで問題がすべて解決するわけではありません。特に注意が必要なのは保証人への影響です。

 

自己破産しても保証人の責任は残る

自己破産は債務者本人の返済義務をなくす制度ですが、連帯保証人や通常保証人の責任までは消えません。そのため、本人が破産して返済不能となった場合、保証人が代わりに返済しなければならなくなります。

 

親や親族が保証人となっているケースでは、家族に多大な経済的負担を背負わせてしまう可能性があるため、自己破産については慎重に検討しなければなりません。

【参考】自己破産後の生活について

 

人間関係への深刻な影響

奨学金は親族が保証人になっているケースが多く、自己破産によって家族や親戚に返済義務が移ると、経済的な問題だけでなく心理的な負担も大きくなります。

 

「なぜ返済できなかったのか」と責められることで関係が悪化し、精神的に追い込まれる人も少なくありません。特に、黙って自己破産をしてしまうと、裁判所からの通知を受け取った保証人が憤慨してしまう、といったケースも想定されるため注意しましょう。

 

奨学金返済の負担を減らす自己破産以外の方法

自己破産は確かに債務をなくすことができる手段ですが、信用情報への影響や保証人の責任は残ってしまうといったデメリットも伴います。奨学金の返済に困っているものの、リスクは極力抑えたいという場合、自己破産以外の解決方法も視野に入れましょう。

 

任意整理で返済計画を見直す

任意整理とは、弁護士が債権者と交渉し、利息や遅延損害金を減免してもらう手続きです。奨学金の元本を大きく減らすことはできませんが、月々の返済負担を軽減できる可能性があります。返済額を抑えることで生活の立て直しを図れます。

 

ただし、奨学金の場合、そもそも利息が低いことから任意整理の効果が限定的になるケースも多いです。そういったケースであっても、その他の借金を任意整理の対象にするのであれば、結果として奨学金の負担を軽減することは可能です。

【参考】任意整理をした場合、何年以内に借金を返済することになるのでしょうか?

 

個人再生で大幅な減額を目指す

個人再生は、裁判所を通じて債務を大幅に減額し、原則3年の分割払いに組み直す制度です。奨学金も手続きの対象になり、借金総額を大幅に減らしたうえで無理のない返済計画を立て直すことができます。

 

自己破産に比べて制約が少なく、住宅や車といった保有財産を手元に残せる可能性があるのもメリットです。ただし、個人再生は自己破産と同様、連帯保証人・通常保証人に請求がいってしまうため、利用時は慎重に判断しなければなりません。

【参考】群馬(高崎・前橋)で個人再生に強い弁護士をお探しなら山本総合法律事務所へ

 

奨学金制度の救済措置を利用する

奨学金には、返済困難者向けの救済制度も用意されています。たとえば「返還期限猶予制度」や「減額返還制度」などを活用すれば、自己破産を選ばずに返済を継続できる場合があります。これらは生活状況や収入に応じて申請できるため、まずは返済先に相談するのも一つの方法です。

 

まとめ

集合写真

奨学金は学生生活を支える重要な制度ですが、返済に行き詰まると延滞金や信用情報の悪化、保証人への請求といった深刻な問題を招きます。自己破産をすれば本人の返済義務はなくなるものの、保証人に負担が移る点は大きなリスクです。

 

返済に悩んでいる場合は、自己破産だけでなく任意整理や個人再生、さらには奨学金制度自体の救済措置を検討することが重要です。どの選択肢が最も適しているかは個々の状況によって異なるため、専門家に相談することで最適な解決策を見つけられるでしょう。

 

もし、「奨学金が重荷になっている」と感じたら、一人で抱え込まずにまずは当事務所にご相談ください。個々の状況にもっとも適した解決策をご提案させていただきます。

 

当事務所ではこれまで数多くの破産に関するご相談を受け、円滑に破産手続きを進行し破産者の再出発・リスタートを支援してきました。

 

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