破産管財人って何をする人?破産手続きをわかりやすく解説!

破産手続きで困ったら…

破産手続は裁判所に申し立てて行う法的な債務整理手続きです。

破産の申し立てのためには様々な資料を収集し、破産申立てに至った経緯や収支状況を説明するための書類も作成しなければならず、複雑かつ大量の作業をこなさなければなりません。

また、申し立てた後も、破産管財人による調査・換価等に協力しなければなりません。

破産手続きにお困りであれば、専門家である弁護士へ相談することが大切ですが、今回は、破産管財人について、役割やどの様な人が破産管財人になるのかを解説します。

破産管財人ってどんな人?

破産管財人ってどんな人?

 弁護士が選ばれる

破産管財人にも破産法などの法律知識や実務経験が求められますので、弁護士が選任されます。

裁判所が選任する

破産管財人は、裁判所が、その地域において適任と思われる弁護士を選任します。

破産を申し立てた破産者や破産者の債権者が選べるものではありません。

後述のとおり、破産管財人は第三者的な立場から中立・公正に管財業務を行うので、裁判所が破産管財人を選任します。

中立・公正

破産管財人は、破産者本人とも破産者に対する債権者とも利害関係を有しない客観的な第三者の立場から、中立・公正に管財業務を行います。

端的にいえば、破産者の味方でもなければ敵でもない、ということです。

 

また、破産管財人は、第三者としての性質のみならず、破産債権者の利益の代表者としての性質も持ちます。

破産債権者のために破産財団(債権者への配当の原資となる資産)の増加を図り、債権者に対し可能な限り多くの配当を行うことも職責の1つです。

加えて、破産者の承継人としての性質も有しています。

 

この様に、破産管財人は第三者的立場、破産債権者の利益代表者、破産者の承継人の3つの性質を併せ持ち、場面に応じて使い分けることで中立・公正な破産手続きを実現させることを職責としています。

【参考】自己破産で生命保険は解約?知っておくべき生命保険の取り扱い

破産管財人の仕事

破産管財人の仕事

あなたの財産を管理・処分・換価します

破産者の財産(破産財団)を把握したうえで、適正かつ迅速に財産を占有、管理、処分し、現金に換え(換価)、債権者に対して法令が定める順位に従い配当します。

財団債権がある場合はこれの弁済も行います、

 

もっとも、破産者が個人の場合、破産者の財産の全てを破産管財人が占有・管理するものではなく、破産者の生活のために必要最低限の財産は破産者の手元に残し破産者が自由に使用・処分できます。

破産者の手元に残る財産は「自由財産」と呼ばれ、破産管財人は管理しません。

 

注意すべきなのは、これまで述べてきたとおり破産管財人は破産者の味方ではありません。

破産者の味方となり破産者の利益の最大化を図るのは申立代理人弁護士ですので、破産管財人と申立人代理人の立場の違いは理解しておきましょう。

債権者を公平に扱います

破産手続きが開始されると、破産者に対する債権者から債権の内容や額等が記載されている債権届出が提出されます。

破産管財人は、債権者が誰なのか、各々いくらの債権を有しているのかを調査し、確定します。破産管財人は第三者的な立場ですので、各債権者を公平に扱います。

特定の債権者を有利or不利に扱ったり、債権者からの不当な要求に応じることはしません。

親族であろうと懇意にしている取引先であろうと、全ての債権者を公平に扱います。

破産手続きをスムーズに進めます

破産管財人は、破産者が破産に至った経緯の調査も行います。

破産者が個人の場合には破産者を免責(=借金等の債務の弁済を免除する)することの妥当性の調査も行い、調査結果を報告したり破産管財人の意見を述べたりすることで、裁判所が破産手続きをスムーズに進められるようにする職責も担っています。

 

また、破産者が法人の場合には、その法人を放置するのではなく適切に清算します。

破産管財人は法人の代表者の代わりとして、経理・人事・営業・総務・法務の全ての面を把握して清算業務を行います。

適切に清算することで、各債権者が権利義務関係の整理や貸倒損失としての処理(損金処理)を行うことができるようにします。

 

破産手続きがスムーズに進むことは、破産者にとっても債権者にとっても有意義です。

破産管財人の業務は経済的にも社会的にも多方面にわたり影響を与える重要なものなのです。

【参考】自己破産中にやってはいけないこと

破産管財人が選任されたらどうなる?

破産管財人が選任されたらどうなる?

破産者に一定の財産がある場合、破産管財人が選任され管財事件と扱われます。

管財事件には通常管財事件と少額管財事件の2パターンがあり、後者の方が、財産が少なく調査も簡易的ですので、破産手続き全体も簡易なものとなります。

破産者としては、破産手続きがスピーディかつ簡易であり、申立時に支払う予納金も少額で済む少額管財と扱われた方が負担が少ないでしょう。

管財事件と扱われるか、管財事件になったとして通常管財と少額管財のどちらと扱われるかは裁判所が判断します。

地域ごとに裁判所の基準が異なりますので、一概にどちらに振り分けられるかは断定できません。

 

いずれのパターンであっても、破産管財人が関与する以上、破産者は破産管財人による業務に対し誠実に協力しなければなりません。

具体的には、破産管財人との面談を行い、破産に至った経緯や現在の収入について説明し、破産管財人が適切に業務を遂行できるようにします。

虚偽の説明を行うと免責されないおそれがありますし、罰則も設けられているので必ず正直に説明しましょう。

特に、破産に至った理由にギャンブル等の事情がある場合、説明に際して後ろめたさを感じることがあるかもしれませんが、その様な事情も含めて全て正直に説明しなければなりません。

 

また、管財事件では、破産者は引っ越し、旅行、出張といった移動が制限されます。

破産手続き中は、このような移動は控えなければなりません。

財産の隠匿や破産手続き中に所在不明となってしまうことを防ぐために、このような移動制限が設けられています。

どうしてもこれらを行う必要がある場合、申立代理人弁護士や破産管財人へ連絡しましょう。

破産管財人や裁判所の許可を得られれば、引っ越しや旅行ができるようになります。

【参考】自己破産で借金を解決するまでの期間

破産に関するご相談は弁護士法人山本総合法律事務所へ

集合写真

破産手続きは、自身の資産状況や生活環境によって進め方や注意すべきポイントが異なります。

特に破産管財人が選任され管財事件と扱われる場合、手続きが複雑になり、申立のための書類の作成のみならず、破産管財人への引継ぎや破産手続開始後の破産管財人への協力も必要となります。

また、法人の破産を行う場合は従業員や取引先への対応など様々な手続き・対応も同時に行う必要がありますし、経営者が法人の借入れの連帯保証人になっている等、経営者の個人破産も同時に行わなければならないケースもあります。

破産手続は複雑かつ専門的なものであり、自身で行うのは困難です。

 

当事務所ではこれまで数多くの破産に関するご相談を受け、円滑に破産手続きを進行し破産者の再出発・リスタートを支援してきました。

また、法律的な支援に留まらず、破産者の立場に立った親身なサポートを行っております。

当事務所のたしかな経験とノウハウを持つ専門の弁護士がご相談をお受けしますので、まずはお気軽にお問合せください。