A:下記のような内容です。
1 非減免債権が設けられた理由
平成15年の法改正前には、再建型の倒産処理手続では非減免債権の制度は設けられていませんでした。
しかし、同一の債権について、清算型の倒産処理手続である破産手続では非免責債権とされているのに、より多くの弁済が保障されている再建型の倒産処理手続において減免されるとすることは均衡を失するとの指摘がされていました。
そのため、平成15年の法改正において、個人再生手続においても非減免債権の制度が設けられました。
2 非減免債権となる再生債権
(1) 再生債権
個人再生を申し立てる目的は、債務を減額した上で、それを分割払いにする旨の再生計画を策定し、その再生計画を裁判所に認可してもらうことにあります。
しかし、すべての債権・債務が減額できるものではありません。
個人再生の手続きにおいて、減額対象となる債権は「再生債権」とされています。
再生債権とは、再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益権又は一般優先債権であるものを除く)のことをいいます(再生法84条)。
そして、再生債権のうち、以下の事由があるものは非減免債権とされています。
(2) 非減免債権
非減免債権とは、個人再生手続きにおいて減免されない再生債権を意味します。
個人再生手続において非減免債権となるのは、①再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権②再生債務者が故意又は重過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権、③再生債務者の扶養義務等に係る請求権です(再生法229条3項)。
なお、租税等の請求権や、雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権は、破産手続においては非免責債権とされますが(破産法253条1項1号、5号)、民事再生手続では、これらの債権は一般優先債権として再生手続によらずに随時弁済されることから(再生法122条)、非減免債権とはされていません。
より詳しいことにつきましては、個人再生の実務に精通した弁護士にご相談ください。