執筆者
弁護士 山本 哲也
A:破産開始決定後に給料を差し押さえることはできません。
自己破産をした場合、給料が差し押さえられることはありますか。
また、既に差し押さえられている給料を受け取ることはできないのですか?
破産手続き開始決定後に給料を差し押さえることはできません。
破産手続きの申立て以前に既に差し押さえられている場合には、差し押さえに対する執行停止の申立てを行う必要があります。
法律上、破産手続き開始決定があった場合には、破産者の財産は基本的に全債権者に公平に分配していくことになりますので、破産者に対して強制執行できないものとされています。
それゆえ、給料の差し押さえも強制執行にあたりますので、破産手続きの開始決定後に給料が差し押さえられることはありません。
ただ、破産手続きを申立てる前の時点で既に給料が差し押さえられていることがあり得ます。この点、給料は生活を送る上で重要な原資ですので、差し押さえられてしまうと生活の再建に重大な影響を及ぼしかねません。
この点、破産手続きの申立てをしたとしても当然に、差し押さえが取り消されるわけではありません。それゆえ、破産手続き開始決定後に、給料を差し押さえられないようにするためには、給料に対する差し押さえの執行停止の申立てを行う必要があります。
そして、裁判所が、破産者に対して、破産者の債務について支払わなくてよい旨の免責許可の決定をして、確定した場合には、差し押さえの手続きは効力を失います。これにより、差し押さえに対する執行停止期間中の給料を受け取ることができます。
より詳しいことにつきましては、一度、自己破産の実務に精通した弁護士にご相談ください。