A:破産手続開始の決定と同時に手続廃止の決定をすることです。
1.同時廃止とは
破産手続開始の決定と同時に破産手続廃止の決定をする場合をいいます。
本来、破産手続においては、債務者の財産を公平に清算することを目的とすることから、破産管財人が選任されるのが原則ですが、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならないものとされています(破産法216条1項)。この場合、破産管財人は選任されません。
2.メリット
(1)費用が安いこと
破産の手続費用としては、公告費用等も含まれますが、破産管財人の報酬が中心となります。もっとも、同時廃止の場合には破産管財人が選任されないため、破産手続費用の負担が軽くなっています。
(2)手続に要する期間が短いこと
破産管財人が選任される場合に比して、破産手続に要する期間は短くなる傾向にあります。
3.デメリット
免責不許可事由がある場合にデメリットが考えられます。
免責の理念には、誠実な破産者に対する特典と破産者の経済的更正の手段の二つが混在しているといわれています。そのため、免責不許可事由がある場合においても、裁量免責の可能性は残されています。誠実な破産者と評価されるためには、破産者自身が破産手続を通じて、破産債権者の利益実現に誠実に協力する必要があります。
しかし、同時廃止は、破産手続開始決定と同時に破産手続が終了してしまうので、裁量免責に有利な事情を得る可能性を失いますし、破産管財人から債権者に免責に有利な事情を報告してもらう機会を失うことにもなります。