執筆者
弁護士 山本 哲也
A:以下に挙げる一定の債務については、支払義務が残ります。
自己破産をして免責を許可されると、すべての債務について支払義務がなくなるのですか?
自己破産をして免責の許可を得ると、借金はなくなります。
しかし、免責が許可された場合でも、以下に挙げる一定の債務については、支払義務が残ります。
まず、故意や重大な過失によって人の生命や身体を害した場合に負担した損害賠償債務については、自己破産をして免責許可を得ても支払義務が残ります。わざと、あるいは重大な不注意によって他人の生命や身体に与えた損害について賠償義務を免れさせることは、損害の公平な分担の見地からしても妥当ではないからです。
また、税金や国民年金、健康保険料を滞納していた場合には、自己破産をして免責許可を得てもこれらの納付義務につき支払い義務が残ります。
さらに、子供の養育費を滞納している人が自己破産をして免責許可を得ても、養育費の支払い義務を免れることはできません。
このように、自己破産をして免責許可を得ると、借金はなくなりますが、一定の債務についての支払義務は残ります。ですので、自己破産後には、そのような支払ができるように計画を立てる必要があるのです。
自己破産について検討されている方は、一度、自己破産の実務に精通した弁護士にご相談ください。