執筆者
弁護士 山本 哲也
A:生活に最低限必要と考えられる財産等の自由財産は、処分されません。
自己破産を申し立てても、破産開始決定以後に取得した財産、生活に最低限必要と考えられる財産等の自由財産は、処分されずに申立人の手元に残されます。
自己破産は、原則として申立人が有している財産から債権者に対して配当を行って債務の弁済に充てて、なお残った債務については基本的に免除を受けるという債務整理の手続きです。
この点、自己破産の手続きを行うと、持っている財産が全て処分されてしまって手元には何も残らない、というようなイメージをお持ちの方もおられるかもしれません。
しかし、実際には、自己破産の手続きにおいて、一定の範囲の財産は処分されずに申立人の手元に残されます。このような処分の対象にならない財産を自由財産といいますが、自由財産には以下のようなものが含まれます。
まず、破産開始決定がされた以後に申立人が取得した財産は、処分の対象になりません。例えば、破産開始決定よりも後に申立人は職場から支払いを受けた給料などがこれに当たります。
次に、申立人の生活のために必要と考えられる範囲の財産も、処分の対象になりません。
具体的には、一定額までの現金や預貯金は、処分の対象になりません。
また、民事執行の手続きにおいて差押えが禁止されている差押え禁止財産も、自己破産の手続きにおいても、処分の対象にならずに申立人の手元に残されます。
以上のように、自己破産を申し立てても、財産の処分によって生活が脅かされるようなことはありません。詳細については弁護士にご相談下さい。